月の夢 雪と星とに 泣き別れ

龍真咲さんの 1789 を観て思ったこと
ベルばらにあって1789 にないもの。それは勿論、オスカルである。池田理代子先生が生み出した、この永遠のキャラが決定打となって、ベルばらは国を越え世代を超えた普遍性を獲得したのだ。
オスカルを最強キャラに押し上げたのは、フェミニズム一択ではあるまい。
ハプスブルク帝国に対峙するためには、階級闘争など手枷足枷になってしまう。しかし王制が継続していては、国力や国民の生活はますます疲弊していってしまう。
腐敗の王制か暴力革命による混乱か。どっちに転んでも先行き不透明。
行くか退くか、右か左か。どちらにしても絶望の未来しか見えない。
そんな葛藤がオスカルには投影されているように思う。
そのように内在した矛盾、悲劇性を男装の麗人という一つのキャラで言い表した池田理代子先生は、やはり不世出の偉大な作家と言わずばなるまい。

スカステが余生の友