夜明けは近い、あの頃の花組さん

高汐巴さんの 微風のマドリガル
冒頭のガヤ芝居で一際目を引くのが、真矢みきさんであります。役名が無い船員ですが真矢みきさん一人、輝きが違うのであります。別に鵜の目鷹の目で探し求めているわけでもないのに「ミキさんだ」となるのであります。真矢みきさんの存在感は、この頃から違っていた、のであります。違っていたと言えば大浦みずきさんであります。やはり大浦みずきさんの歌唱と芝居は違うのであります。お得意とされるダンスの見せ場が無いのにもかかわらず、この存在感です。ダンスの見せ場が無いと言えば、瀬川佳英さんも同様であります。瀬川佳英さんはゴロツキみたいな役でしたが、ヤケに可愛いのです。ヤケに可愛いと言えば、幸和希さんであります。男役さんですが、喋り方や言い回しが可愛いし、何より全体に気品すら漂っている気がします。気品が漂うと言えば、峰丘奈知さんのヴォーカルであります。酒場でスパニッシュ・ハートな歌をワイルドな感じで歌っておられるのですが、隠しきれない気品が感じられてサスガであります。サスガと言えば岸香織さんであります。毒舌吐きまくるオモロイ方であることは承知しておりましたが、深い味わいの爺さん役は見事でありました。見事と言えば、……。これだけ見事なジェンヌさんがズラリと揃ったそのトップにいた方の心中や如何に。何ですか、あの芝居あの歌唱、と言いたいところですが、それでもメゲずにトップを張ってらしたのだから、見事と言わなければならない、のかなぁ。