桜の木 花はひらけど 花曇り

地下鉄に乗っていたら、突如、扉上のモニターに宝塚歌劇団の宣伝映像が流れ出したのです。大階段で上下左右ズラリと居並び重厚なダンス、舞台上での軽やかなダンス、そしてビールマンスピンのような美しいリフト、銀橋での流麗たるダンス、極めつけは羽根を背負ったトップさんの荘厳な輝き。そんな映像を見詰めていたのは、私一人でした。他の乗客は気づきもしないのか、無関心の様子でした。思いがけず、ほんの数秒だけのタカラヅカタイムだったのですが、壮麗な映像にイイ気分だワイとなったです。「壮麗帝」桜木みなとさん主演であります。この舞台、致命的にダメなのは、主人公の顔が見えないところです。イヤイヤ桜木みなとさんは美しいのです。私は好きです、桜木みなとさん。物語のキャラ立ちが、なんだか残念なのです。主人公の人生が平板でツマランのです。山あり谷あり波乱万丈とは全く無縁で、予定調和的に歩んだ人生といった感じであります。拾った男女、男は側近、女は側女となったのは唐突感ありまくりですし、側近は失政から泣いて馬謖を斬り、女は病で死別となり終了。おサルの電車もどきで、園内を一周しましたって感じでしょうか。ジェットコースターのようなスピード感もスリルもなく、安全運転ゴクローサンであります。これじゃツマランと感じてしまうのも無理はないのです。