黒蜥蜴は金持ちだ、宝石沢山手下もね

BS松竹東急で天知茂明智小五郎に扮する「江戸川乱歩 美女シリーズ 」が放送されておりますので、視聴しました。「黒蜥蜴」が原作の「 悪魔のような美女」です。放送当時、私は訳知り顔で「お色気場面がウリの下らん三文ドラマ」と生意気なことを思っており、見ておりませんでした。しかし、寄る年波には勝てぬもので、小賢しいものは堅苦しさを感じてしまい、脳髄が拒否するのです。一方、ケレンミ満載の娯楽ものには、コレしか理解出来んのよと、すがりついてしまいたい気分なのです。で、天知小五郎版江戸川乱歩シリーズの「黒蜥蜴」ですが、黒蜥蜴の荒唐無稽な立ち振る舞いには失笑を禁じ得ませんが、東京タワーの蝋人形館の如く、毒々しいイカガワしさに覆い尽くされ窒息しそうであります。そうそう、コレコレであります。このインチキ臭さが、ヘンテコに魅力的な芳香を醸し出しているのです。タカラヅカさん版の黒蜥蜴は、木村信司が無理クリお涙頂戴の方向へネジ曲げてしまった為、何とも間抜けなことになってしまったのでした。江戸川乱歩のようなヘンタイ的ミステリーは、余計に捻ることなく、王道の猟奇世界を突き進むべきなのです。