遺恨試合の違和感

5.6東京ドーム決戦は、井上尚弥選手が初回ダウンのハプニングを跳ね返して逆転KO勝ちしました。悪童ネリ退治に、溜飲を下げる思いがあったのは事実であります。しかし、冷静になって考えれば、ボクシング競技に、遺恨めいた付加要素は不必要であると思えます。いや寧ろそうした怨念とかドロドロしたものは、ボクシング競技から完全排除しなければならないものでしょう。井上尚弥選手が見せた試合開始直後の「力みとカタさ」は、東京ドーム興行という高揚感もあったでしょうが、遺恨試合としての盛り上がりを狙ったプロモーターの、商売っ気の副作用であると思ってしまいます。もし井上尚弥選手のメンタルがヤワであったなら、井上選手はそのまま東京ドームの魔物に飲み込まれてしまったかもしれません。会場に響く悪童ネリに対するブーイングも、凄まじいものがあったと聞きます。嘆かわしいことです。命を賭してリングに上がるボクシング競技者には、常に最大のリスペクトをもって迎えられるべきであります。更に井上尚弥選手がリング上で時折見せる挑発パフォーマンスも、今後完全封印して頂きたいと個人的には思っています。井上尚弥選手はソンナ安っぽい演出的要素が無くても、卓越したボクシング技術と並外れたパワーで、観客を十分に満足させることが出来るからです。でも、トレーナーであり父親である井上真吾さんのヤンキー気質を、井上尚弥選手は受け継いでいるのかもしれません。何せ親子だからねぇ。