呪術師の夜明け前

ウェイン・ショーターの3回目であります。コルトレーン後のテナー奏者がなかなか定まらなかったマイルスにとって、ウェイン・ショーターは喉から手が出る程欲しい存在になっていました。一度はスゲ無く断ったウェイン・ショーターを誘うのは、マイルスには屈辱的ではありましょうが背に腹は代えられません。ウェイン・ショーターにとって念願のマイルス一家入り濃厚となった頃、ショーターは満を持してリーダー作を録音します。「Night Dreamer」であります。コルトレーン・カルテットのリズム隊にウェイン・ショーターリー・モーガンといった布陣。とは言え当時ノリにノっていたエルビン・ジョーンズの超剛腕ドラムスに乗ってコルトレーンエピゴーネンになってしまう程、ウェイン・ショーターはヤワではありません。ウェイン・ショーターのアブナイ変質者っぽさの一端が、チラリと顔を覗かせてたりします。しかし、まだまだ聴き易い。カッコ良さが私にも分かるくらいであります。Chacoal Blues も12小節ブルースの枠からハミ出すことはありません。ウェイン・ショーターにしてみれば小手調べ、前哨戦といった趣の「Night Dreamer」で、次作の「JUJU」でいよいよウェイン・ショーターの本領発揮となるのです。