革命を俯瞰する詐欺師の目

美弥るりかさんの 瑠璃色の刻
タカラヅカさんはフランス革命がお好きね、であります。ベルばらが王宮から見た革命で、調香師の物語(タイトルは忘れました)では平民から見た革命でしたが、「瑠璃色の刻」はその中間といったところでしょうか。
詐欺師の平民が伯爵になりすまし、"賢者の石" を使ってベルサイユ宮殿に出入りし、ニセ貴族の立場から見た革命ということになります。
で、問題はマリー・アントワネットです。この王妃様がベルばら以前のイメージ通りに、浪費三昧贅沢好き勝手し放題に描かれていれば、詐欺師の目線も平民のままでいたでしょう。
しかし、マリー・アントワネットは三角形の頂点の目線から離れ、次第に周囲を見渡せるようになってくるのです。
「瑠璃色の刻」は、こうしたベルばら以来のマリー・アントワネット像を踏襲しています。そんな王妃の姿を目の当たりにした元平民の詐欺師が、平民でもない貴族でもない、第三者的な目線で革命を俯瞰するようになるのです。
まるでサナギから羽化するかのように、精神の翼を得て飛び立つ人間の物語でありました。
しかし、旅芸人さんの覚醒が、唐突感ありなのは少々残念でありました。

スカステが余生の友