目の描写に天才の苦悩が見えた

浦沢直樹の漫勉neo 「手塚治虫」
漫勉も当初は物珍しさに見ていたのですが、興味のない漫画家さんの創作風景を見ても面白くないし、話も大体グダグダになってしまってツマランので見なくなっていたのです。しかし、手塚となると見てしまうのです。かつてNHKが手塚の仕事場に潜入取材した番組があったので、それを元に「漫勉」をやるのだろうと予想はしていたのです。大体は予想通りだったのですが、ゲストの方々が手塚の元アシスタントだったこともあり、「おぉっ」となるような興味深い話が聞けたり、秘蔵の下絵的な未完成原稿を見ることができたりと、かなり予想外な面白さに溢れた内容だったのです。特に「ブラックジャック」初掲載のブラックジャック初登場の場面。ブラックジャックの超どアップの目が、数回にわたり書き換えられているというクダリには、思わず画面に食い入ってしまったのです。手塚が目に拘り何故そこまでキャラ設定に悩んだか、その理由を出演者が推論を交え解き明かしていくのですが、これこそがまさに「漫勉」の真骨頂であると思ったのです。しかし、ゲスト出演者がアレだし、放送局がNHKだしでアレな感じで番組を締めくくるのだろうな、と思っていたらまさにアレなエンディングだったので、日本の病巣も根が深いと感じた次第です。