クロいけものたち

NHKドラマの「犬神家の一族」後編を視聴しました。市川崑監督は陰惨な連続殺人の物語でも、ほのぼのとしたエンディングでシメました。しかし、今回のNHK版のエンディングは、後味の悪いものでした。原作や市川崑監督版は、善意の佐清でシロ佐清と言えるものでしたが、今回のNHK版は悪意のクロ佐清でありました。逆になりすましスケキヨの青沼静馬の方が、シロ佐清っぽく描かれており、斬新な脚色なのでしょうが、頭が硬化している年寄りの私にとってはシンドイのであります。「金田一さん、あなたビョーキです」とクロ佐清に言い放たれて頭を抱えてしまう金田一でしたが、私も「はぁ?」となってしまいました。松子夫人は最初から”なんちゃってスケキヨ”のなりすましを見抜いていたとのことで、那須への車中でスケキヨに対し冷淡だった理由も理解出来たのですが、とすると松子夫人もかなりクロに近いグレーではあります。しかし、手形照合がホンモノの佐清と判明した時の大竹しのぶの演技は何なの?であります。どういうことかと言いますと、鑑識結果の発表に赴く際、松子夫人は煙管の道具を帯に差し込んでいるのです。”なんちゃってスケキヨ”がニセ者であると露見され追い詰められた時、自決をも覚悟していたということです。それなのに鑑識結果はホンモノと出たのですから、驚天動地なわけで、それにしては抑え気味の演技は私には謎なのでありました。すると、顔面崩壊のなりすましスケキヨが青沼静馬であると見抜いたのは、時系列的にどの段階?であります。もう、ワケ分かりません。更に分からないのは、”絶世の美女”じゃない珠代のワケは、クロ佐清だからなのか?もしかして珠代もクロ珠代でクロ佐清とグルだったのか?もう何が何だか分かりません。今回のNHK版犬神家を視聴して、76年の映画版犬神家がいかに神映画であったか、シッカリと確認出来たのでした。最後に私から個人的なミッションを金田一耕助探偵に課したいと思います。行方不明の"我が推し"亜音有星さんを探し出せ。