フェルゼン編2

大浦みずきさんのベルばらフェルゼン編が、私をタカラヅカさんのアリ地獄に引き摺り込んだのです。その時に見たのは、安寿ミラさんのオスカルでしたが、今回のスカステさんは、真矢みきさんのオスカルバージョンであります。私はミキさんの方が好きです。オスカルの私的トップ3からミキさんを加え、オスカル四天王とさせて頂きます。更に「ああ巴里の夜ぅ~」と歌う峰丘奈知さんの美しい歌声を、別バージョンで視聴できる幸せ。76年の鳳蘭さん版では大空美鳥さんが歌っておりましたが、キーが違うぞ、であります。やはり峰丘奈知さんが歌うように高いキーで歌ってこその「ああ巴里の夜ぅ~」なのであります。大浦みずきさんの魅力については、言わずもがなであります。かようにタレントの揃った花組さんの幸せな時代は、愛華みれさん時代まで続くのであります。

フェルゼン編1

ベルばらのフェルゼン編は、大浦みずきさん版に止めを刺します。鳳蘭さん版もオヨビでない、であります。でも、鳳蘭さん版は汀夏子さんのオスカルが、とてもステキなのです。私的オスカル役トップ3は、汀夏子さんに安奈淳さん、それに涼風真世さんの3名であります。ついでにアンドレ役は、麻実れいさん一択です。さて鳳蘭さん版でクレジットされていたにもかかわらず、出演時の場面をカットされてしまったのが、ジャンヌ役の四季乃花恵さんであります。この方、劇団在籍中からタカラヅカさんの枠を飛び越え、多方面で活躍されていたジェンヌさんのようであります。私はテレビドラマシリーズでの「犬.神家の一族」で見ておりました。絶世の美女でありヒロインの珠世役という、超特級の役であります。そんなこともあり、タカラヅカさん内での四季乃花恵さんが見れると喜んだのも束の間、出番場面全カットの憂き目に遭ってしまったのでした。かわいちょ

宙に星有り、ひばりの音も

スカステさん4月のラインアップが出ました。見どころはありません。次っ。和希そらさんの「夢千鳥」は、緊急事態宣言の状況下、無観客という異常事態の中での収録だったようです。ジェンヌさんたち、よくやるワであります。配信という手段を講じたとのことですが、配信でご覧になられた方はゴクロウサンであります。このお芝居で時間を拘束されてしまうのは、罰ゲームではないかと思われたのではないでしょうか。私は他に用事をコナしながらタイパを意識しての視聴となりました。こんなツマランお芝居に対峙された方は、ゴクロウサンであります。しかし、ジェンヌさんはスバらしかったと思います。特にアマイロさんはスバらしい。決してイヤミで言ってるのではありません。私がゾッコンの紫城るいさんには及びませんが、エキセントリックなサイコパス的役柄の路線で行かれたら、かなり良い感じではないでしょうか。それ以上に私が目を見張ったのは、亜音有星さんと山吹ひばりさんのコンビであります。美しいし、品格というものがあります。このお二人、理屈抜きでサイコーです。ひばりちゃんと言えばジジイ世代はミソラですが、これからはひばりちゃんと言えば、ぶっきーと叫ぶことにしようと思います。

歴史小説家の創作ですから

浅学非才の私、汗顔の至りであります。「星影の人」について何も知らずにいたのです。望海風斗さんの「誠の群像」を見ておりまして、アラっ?となったのです。この二つ、殆ど同じではないか?望海風斗さんが初っ端の場内アナウンスで、確かに「司馬遼太郎作」と言っているでのであります。ということは「星影の人」の"作・柴田侑宏"ってアレか?であります。更に意地糞の悪い私は、97年星組さんの麻路さきさん版「誠の群像」を確認したところ、場内アナウンスでは司馬遼太郎の"し"の字もなく"作・石田昌也"と言っているではないか。アラアラ、であります。18年雪組さんの望海風斗さん版になって、漸く"作・司馬遼太郎"のアナウンスが入り、タイトルにも"司馬遼太郎"の文字が組み込まれたのでありました。しかし、「星影の人」の"作・柴田侑宏"はダメでしょ。柴田侑宏は司馬遼太郎のパロディやってた?であります。「誠の群像」は面白いと思いましたが、「星影の人」は、コレ劣化版?でありました。見方を変えれば、劣化版パロディをいかにも名作っぽく演じてしまった"汀夏子さん一座"は、スゴかったと言えるのかもしれません。

昭和を贔屓するわけじゃないけれど

早霧せいなさんの 星影の人
汀夏子さんの時代と、どうしても比較してしまうのです。昭和のジェンヌさんは大人でありました。老成した円熟味とでも申しましょうか、ドッシリと構えた落ち着きがあったような気がします。それに土方歳三役が麻実れいさんですから、この方のカッコ良さには、何百人束になってもかなわないのです。麻実れいさんに勝るジェンヌさんは、後にも先にも存在するハズはないのであります。しかし柴田侑宏の作品は、通り一遍のヤッツケ感モロ出しであります。そんなハンデを背負いながら、名作感を醸し出す汀夏子さん一座はオドロキであります。可愛らしい沖田総司像は、可愛らしさが泉の如く湧き出てくる汀夏子さんにしてみれば"いらっしゃい"てなモンだったのかもしれません。しかし、それを早霧せいなさんに強いる演出は、早霧せいなさん、かわいちょ、でありました。

スタート直後にズッこけました

龍真咲さんの「GOLDEN JAZZ」を見始めたのですが、のっけから美人度ナンバーワンの朝美絢さんと、ぼくたちの暁千星さんが登場してニヤニヤしておったのです。しかし、龍真咲さんが銀橋で歌い始めると、最前列のお客様が手拍子でノリノリのご様子がバッチリと映し出されておりました。その光景を見てしまった私の精神状態は直滑降、であります。白け鳥が群れを成して東の空へ、であります。劇場の客席で巻き起こる熱気と、寒々とした部屋で一人画面を見つめる私とでは、熱量の差が段違いなのであります。それは、単に宝塚歌劇は劇場で観劇するに限る、といったことではないでしょう。劇場で観劇する前から勝負は始まっております。劇場で観劇される方は、演目が発表され配役が決まる前後からアップし始め、更にチケット争奪大戦を経て、大劇場の客席へと続く長い道のりが展開されているのであります。夢舞台を目の当たりにするまでの状況が、既に宝塚歌劇生観劇の大きな構成要素になっているのであります。部屋で寝っ転がって、割れ煎餅を齧り出涸らしのお茶を啜りながら、スカステのコンテンツを見るのとでは、ワケが違うのであります。であるから自ずと熱量にも天と地ほどの差が生じるのは当然であります。最前列のお客様がノリノリの手拍子で、ある意味トランス状態に陥っている非日常な様子を見てしまっては、現実の日常で生活している私などは、白々としてしまい、「GOLDEN JAZZ」が始まって数分のうちに、視聴の断念を余儀なくされてしまったのでした。

狂乱の淑女、その甘き微笑

紫城るいさんのサヨナラ特別番組「Sweet Smile」
スカステを視聴するようになって、衝撃を受けたジェンヌさんが紫城るいさんです。大空祐飛さんの月組バウ公演「THE LAST PARTY」を視聴した時でした。紫城るいさんが登場した時点で、もう既に狂気の放射線を発散しまくりで圧倒されたのです。役の中で文字通り精神がイッてしまうと、また色合いの異なった狂態を演じられ、スゴい女優さんがタカラヅカさんにはいたものだと舌を巻いたのでした。その舞台には月船さららさんも出演されていて、その余りの美しさに打ちのめされてもいたのです。タカラヅカさん恐るべしであります。更に白眉は「愛しき人よ」の"東洋のマタハリ""男装の麗人"川島芳子役の紫城るいさんでありました。この川島芳子役には、ご自身大変苦労されたと番組の中で語られておりました。そりゃそうよ、であります。これ程精神がバクハツした役はないでしょうし、それを違和感無く魅力的に演じ切れるのは、紫城るいさんをおいて他にありません。内に計算尽くの冷徹さを秘めた狂乱の貴婦人、そんなヤヤこしい役は、まさに紫城るいさんのために用意されたものだと思えるのでした。