昭和を贔屓するわけじゃないけれど

早霧せいなさんの 星影の人
汀夏子さんの時代と、どうしても比較してしまうのです。昭和のジェンヌさんは大人でありました。老成した円熟味とでも申しましょうか、ドッシリと構えた落ち着きがあったような気がします。それに土方歳三役が麻実れいさんですから、この方のカッコ良さには、何百人束になってもかなわないのです。麻実れいさんに勝るジェンヌさんは、後にも先にも存在するハズはないのであります。しかし柴田侑宏の作品は、通り一遍のヤッツケ感モロ出しであります。そんなハンデを背負いながら、名作感を醸し出す汀夏子さん一座はオドロキであります。可愛らしい沖田総司像は、可愛らしさが泉の如く湧き出てくる汀夏子さんにしてみれば"いらっしゃい"てなモンだったのかもしれません。しかし、それを早霧せいなさんに強いる演出は、早霧せいなさん、かわいちょ、でありました。