時間の国のローズガーデン

明日海りおさんの A Fairly Tale
明日海りおさんは、青い薔薇の精霊役であります。キャラを考えれば、適切な采配というべきでしょう。
明日海りおさんは、タカラヅカさんの従来型男役像に合致するタイプではないと思うからです。
不死の美しきバンパイア、精神がアチラにイッちゃってる三島文学の主人公、ミューズなど、フツウの方では役の側から門前払い的な拒絶反応を示されそうなものが、明日海りおさんの場合はピタリとハマってしまうのです。
ですから、明日海りおさんの為に青い薔薇の精霊役を用意された作・演出家の先生は、けだし慧眼であったと言うべきでありましょう。
特異なキャラに秀でた明日海りおさんから、オールラウンダーな柚香光さんへ繋がれていくバトンという観点からも、植田景子先生の傑出した力量を賞賛しなければなりません。
お伽噺的ファンタジー世界から始まり、やがて人間社会が抱える矛盾から発する問題点の葛藤を容赦なく抉り出し、寓話へと昇華してしまう植田景子先生の才能は、どんな賛辞をも陳腐化してしまう程です。

殺人、薬物、汚職、マフィア、カジノ……。
暗黒世界の駒が闊歩するタカラヅカさんの舞台に辟易していただけに、植田景子先生の作品で「やっぱりタカラヅカさんイイわ」そんな気分になったのでした。

スカステが余生の友