リラの壁の美し過ぎるスリーショット

タカラヅカさんで「ナチス」「ゲシュタポ」「レジスタンス」なんていう単語が、五月蠅く飛び回るとツマラン臭が立ち込めてくるような気がします。涼風真世さんの「リラの壁の囚人たち」も、そんな良からぬ予感から始まったのでした。しかし、緩急をつけた構成と展開に「コレハ違うゾ」というように、予感が良い方向へ旋回していったのです。曲一つとっても暗いマイナー調からメジャーに転ずると、明るい希望が見えるような気がします。救いようの無い話に終始しては、気分はメゲるばかりなので、私としては「明るい青空と笑顔を見せてよ」なのです。そういった点で言うと、この作・演出家さんは分かってらっしゃる、となるのです。タカラヅカさんで、久々に面白かったという感想を漏らさせてもらいます。月組さん時代の轟悠さんを見ることができたのも、ヨカッタと思いました。涼風真世さん、天海祐希さん、轟悠さんのお三方が並ぶ図は、サスガに絵になります。タカラヅカさんの奇跡的歴史的一期一会的ショットをご覧になりたい方は、涼風真世さん版「リラの壁の囚人たち」を視聴されるとよろしいかと思います。最後に蛇足ですが、この頃の轟悠さんは比較的高い音域で発声されておりました。私はとても好感を持てたのです。後の喉を締めて無理に低音を絞り出すような発声は、はっきり申しまして、私には息苦しく感じてしまいキライなのです。この頃のままでヨカッタのに、という感想は余計でありました。失礼しました。