花魁も 大門出れば 町娘

壮一帆さんの 心中・恋の大和路
普通なら、心中物は食わず嫌いで避けるところなのですが、見逃し三振もイヤだし、見ることにしました。
タカラヅカさんは、良くも悪くもコチラの予測を裏切ってくるので、油断ならんのです。
心中物は"重い"という先入観とは逆に、忠兵衛の壮一帆さんは、寧ろ"軽薄"なお調子者を軽快に演じておりました。
この軽さが仇となって転落し、行く先の悲劇を予感させるというわけです。
月城かなとさん演じる手代の横恋慕を、道を踏み外してはならぬと戒めつつ、粋に対応する花魁、大湖せしるさん演じるかもん太夫の美しさといったら、息を飲む程です。
その大湖せしるさんが、仲間の見送りを受け大門から去る時、隠れてソっと覗く忠兵衛と梅川の愛加あゆさんの姿が哀れであります。何故か身につまされ、心の古傷が疼く場面でありました。
愛加あゆさんと義父である汝鳥伶さんの遣り取りを、忠兵衛は涙ながらに聞いている場面、汝鳥伶さんの演技も含めタカラヅカさんウマ過ぎちゃってズルい、であります。

スカステが余生の友