あすの海は蒼白く燃え上がる

エリザベート TAKARAZUKA25周年 スペシャル・ガラ・コンサートを見たのですが、明日海りおさんより他に見るものもなし、そういう状態でした。と言いたくなるくらい、明日海りおさんの存在は圧倒的ということであります。元気溌剌なシシィがエリザベート皇后陛下になるや、心身共に消耗し、死の輪舞曲に追い詰められ、生と死の境界を綱渡りするような狂気を、病的なまでの不気味な迫力で演じられるのは、明日海りおさんしかいないでしょう。「闇が広がる」でルドルフ皇太子を子供扱いした望海風斗さんの圧倒的歌唱力をもってしても、明日海りおさんの前では刺身のツマ程度にしかなりません。母にすがるルドルフを突き放す、明日海りおさん版エリザベート最後の一言「お休みなさい」の陰に籠った物凄さ。冷徹冷酷玲瓏な明日海りおさんの美しくも恐ろしいエリザベートに、暫し呆然となるのでした。