大仰で堅苦しい物言いを揶揄する時、「宝塚のような」と形容する人がいました。実際に宝塚的言い回しを真似ていたのですが、それが「ベルサイユのばら」を意識してのことであることは、容易に分かりました。世間一般の見方でいうと、宝塚歌劇団のイメージは「ベルサイユのばら」と直結するわけです。しかも、それはお笑いネタとして利用されてしまうというわけです。昭和の時代から令和の今日まで、そんな好ましからざる事態は変わってないでしょう。宝塚の「ベルサイユのばら」は様式美だと強弁も出来るでしょうが、洗練されているとはトテモ申せません。アンドレが凶弾に倒れる場面で中々死なないのは、舞台上での表現主義的演出であると言えるでしょうが、瀕死の状態で「ブロンドの髪翻し」と歌ってしまう演出は、ヤメてもらっていいですか?と言いたくなってしまいます。個人的感想をモロに述べれば、そういうことです。「ベルサイユのばら」の脚本・演出は、海外ミュージカル物と比べると、スマートさが致命的に欠如していると断じざるをえません。とは言うものの池田理代子先生の原作が面白いので、見ちゃうのですが。