老いて別人

上下巻の文庫本を上巻だけ買い、読んでみて面白かったら下巻も買おうと思い、失敗したことがあります。どうせ大して面白いこともなかろうと、夜に読み始めたのがソモソモの間違いでした。読み始めたらコレガ面白い。眠気も忘れる程の面白さ。上巻読み終え、続きドウなるのよと気になるも、時は真夜中でドウにもなりません。読みたい読みたい続きが読みたい、こんなことなら下巻も買っときゃあ良かったと、地団駄踏むも後の祭り。そんな悶絶同様の苦しみに震えたのは、今となっては遠い昔の昭和の出来事です。何の本かと申しますと、ロバート・ラドラムの「暗殺者」です。マット・デイモン主演で、映画化もされました。その「暗殺者」、約40年振りくらいに読み返してみたのです。するとドウでしょう。ドウしてそんなにノメり込んだのか分からないのです。面白いけど普通じゃん、だったのです。若かりし頃の感覚が、還暦を過ぎると変わってしまうのでしょうか。肉体の衰えは覚悟しておりましたが、感覚までとは思いもしませんでした。