ベルばらは勘弁してヨ

池田理代子先生の「ベルばら」をスッ飛ばしながら読み直してみたのですが、やはり名作はイイ。読み始めると、漫画世界にグイっと引き込まれる吸引力がスゴいわけです。原作者とTVドラマ化の脚本が何かと取り沙汰されている昨今、宝塚歌劇団の「ベルばら」は、改悪された脚本と評されても仕方ないのではないかと思ったりしたのです。例えば有名な「今宵一夜」ですが、これダメでしょ。オスカル殺害を謀るに至ったアンドレの心層を得心したからといって、いきなりオスカルが「私を抱け」ってなりますか?時間を置いて、あんなことがあり、こんなことがあり、いろんなことがあり、その上でそういう一夜を迎えたわけです。そこんとこを池田理代子先生は、センシティブに描かれているわけです。舞台上の制約が存在するとはいえ、植田紳爾の性急気味な性癖を脚本に落とし込むのは、カンベンしてね、なのです。今度の雪組さんには間に合いませんが、今後宝塚歌劇団で「ベルばら」を上演する時は、女性演出家先生の繊細なタッチによる「新・ベルサイユのばら」をお願いしたいものであります。