三百両の夢、再び

音月桂さんの やらずの雨
音月桂さんは女性としての魅力があり過ぎるので、男役ですが女性として見てしまうのです。
しかし やらずの雨 では、舟宿の徳兵衛として見ていたのでした。
それは堅物の世間知らず、放蕩息子、勘当された落伍者、生一本な職人気質の船頭と各々巧みに演じ分け、音月桂さんの芸達者振りを見せつけられたからです。
やはりトップスターさんは違います。
やらずの雨は原作が古典落語ということで安定の面白さです。
落語が原典としても、総じて演技がオーバー気味ではないかと思うのですが、それは個人的な好き嫌いの問題でしょう。
しかし、逃げ出そうとするご両人が底抜け舟の上でエンディング、というのは無粋という気がします。
やはり「芝浜」のサゲが良かったと思います。

勧められた酒を口元まで持ってきたものの、
「ヤメとこう。また夢になるといけない」

スカステが余生の友