腹芸が顔芸に滲み出る

昭和のTVドラマ「松本清張の殺人行おくのほそ道」を視聴。これは昭和の役者さんの顔芸を見るドラマでありました。「土曜ワイド劇場」枠で放送された懐かしのサスペンス劇場でありますが、昭和のこの手のドラマは、曰くありげな(演技過剰な)顔芸が必須だったわけです。ここぞとばかりに顔芸を誇示する役者さんが、次々と殺人鬼の毒牙にかかっていくわけですが、分かり易いことは分かり易いのです。しかし、もっと捻るがいいじゃないか、という気もしたりするのです。そんな中で、イヨッ!と声が飛びそうな流石の名人芸を見せる役者さんがおります。梅津栄であります。この方の顔芸は、2時間枠のサスペンス・ドラマには欠かせない隠し味であります。ここでも顔芸の醍醐味を存分に見せ付けた後、豪快な顔芸で一番先に退場していくのです。素晴らしい。内容が貧弱なドラマだからこそ、バイプレーヤーの顔芸が光るのでした。