「金田一耕助の冒険」(1979年)を視聴。横溝正史作品で映画化されたものは、大概見ておりますが、コレだけはスルーしちゃっておりました。あまり、評判が芳しいものではなかったからであります。横溝正史の魅力は、オドロオドロしいゴシックホラー的な気味の悪さにあるわけです。「金田一耕助の冒険」は本筋の脈絡とは関係なく、刹那的なギャグやパロディで埋め尽くされたコメディ仕立ての映画とのことなので、コレは見ないでいいやつ、に分類されていたのであります。で、実際視聴してみますと、見ないでいいやつに分類したのは、正解であったというのが正直な感想でありました。昭和者の私でも、当時流行ったTVCMのパロディ等を見せられても、全く面白くないのでありました。しかし、スベり芸上等、とばかりにノリまくる角川春樹と、そんな角川春樹にノセられた御大横溝正史の登場場面は、時の経過とは無縁の楽しさでありました。時の経過と無縁といえば、コメディ映画であっても、出てきただけで不気味な色に塗り替えてしまう梅津栄や、逆に出てきただけでプっと吹き出してしまうおかしさ満載の南州太郎、地球外生物としか思えないスットボケ異次元の大泉洸など、油断ならない曲者たちは、エバーグリーンの存在感といえるでしょう。また、音楽のセンチメンタル・シティ・ロマンスは、CDを何枚か持ってるくらいのファンなので、彼らの起用は有難い限りであります。というわけで、横溝正史作品の映画と思わなければ、それなりに楽しめる部分もあったりしたのでした。