BGMは不可解でしたが…

YouTubeの「ホイチョイ映画生活」や「暗黒迷画座」を指南役に、今回は成瀬巳喜男監督作品を視聴してみようというわけです。この監督の作品を未視聴の私にとっては、いささかハードルが高うございます。やれ暗いだの救い様が無いだの貧乏臭いだの……、散々な言われ様でありますから、視聴前から少々ヘッピリ腰気味であります。そんなわけで、恐るオソル「浮雲」(1955年)の視聴と相成ったわけであります。見てみると、戦後の様子などがリアルに描かれており、細部に至るところまで興味深かったのであります。更に視聴を続けていきますと、この映画は高峰秀子を見る為の映画である、と私は勝手に思ったわけです。高峰秀子のコスプレ、七変化を見る為の映画で、時代背景、ストーリー、共演者等々、すべてが高峰秀子を引き立てる為の道具立てに過ぎない、そうとしか思えなかったわけであります。高峰秀子の美しさ、その魅力を最大限に引き出すことが、成瀬巳喜男監督のミッションであったのでしょう。高峰秀子の美しさを目一杯愛でたい私とすれば、成瀬巳喜男監督!グッジョブっと申し上げたいところであります。特にラストの超どアップ、高峰秀子の超どアップが美しい、神々しい美しさであります。ミレーの「オフィーリア」を蹴飛ばす勢いの美しさであります。回想シーンで表れる高峰秀子の笑顔が、涙の洪水に溺れてしまう程の美しさであります。及び腰で視聴を始めた「浮雲」でしたが、終わってみれば、高峰秀子の美しさを堪能出来てヨカッタの一言であります。