静寂を味わう舞台

スカステで「愛のカレードスコープ」「真紅なる海に祈りを」「ロマノフの宝石 」と、かなり昔の作品を立て続けに視聴しました。しかし、どれもこれも全くツマランかったのです。仕方ないので最近ハマってるBS松竹東急にしました。劇団新派の「東京物語」です。小津安二郎の映画は、見たことがなかったのです。小津安二郎は定点なアングルと、セリフの役者がいちいちカメラ目線なのがどうにもこうにも気持ち悪く、忌避していたのです。劇団新派は前回視聴した「お嬢さん乾杯」が面白かったのに加え、名作との誉れ高い「東京物語」なので、これは間違いなかろう、ということで視聴しました。感想を一言、面白かった、そう言うしかありません。遠く離れて暮らす親子が、久々に顔を会わせることで波立つ心のざわつき、それがじんわりと表現されておりました。このような極めて控え目な感情表現は、タカラヅカさんでは見られないものでしょう。歳を重ねると、このように心のヒダにシミ入るような作品を好むようになるのでしょうか。年を取るのも悪くはないですな。